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手を貸す運動について

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手を貸す運動Ⅱ代表 余生風 佐藤正明

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手を貸す運動の始まりとその軌

1980年

 西アフリカの最貧国シエラレオネから一時帰国した宣教クララ会シスター根岸美智子の話に衝撃を受け、玉川大学教授だった佐藤正明は、「私でも何か手伝えますか?」と申し出た。彼女は「学びたいのに、貧しさから学校をやめる生徒が多いので、その援助をして頂ければ嬉しいです」と答えた。佐藤はすぐ支援を引き受けた。

 その理由は3つあった。一つは、その国の子供がかつて貧しさのゆえに中学校(旧制)に入れず悲哀を味わった彼の過去と重なったこと、二つ目は大学時代に13人もの子がありながら彼を14番目の子のようにして彼の学費援助をしてくれたカナダの恩人への恩返しを考えたこと、そして三つ目はサマリア人のたとえの結びのことばを実践しなければ・・・と思ったからであった。引き受けたのは一人の女子中学生の年間学費だった。

 この出会いから、シエラレオネのルンサ市にあるグアダルーペの聖母学園(OLG)に教育里親・里子支援が生まれた。これが〝手を貸す運動〟の始まりだった。以来、女子中学・高校生対象の教育援助は内戦中の4年間を除き、2013年まで続いた。 

1983年

 賛同者が増えたので名称を 《手を貸す運動》 とした。 

1987~1997年

 児童の極度の栄養不足解消のため、OLG学園小学校1200名全員に週5日学校給食資金援助を始めた。

1992~ 

 OLG校の優秀な卒業生を対象に大学レベルの教育支援として人材養成援助を開始、今に至る。

1994~

 メキシコ、チアパス州インディアン村のフロレッシジャ校とグランハ校の教育援助を開始、今に至る。 

1999~2002年

 シエラレオネ内戦中は宣教クララ会シスターたちが4年間不在だったので、手を貸す運動はザベリオ会神父達と連携し、ムリアルド男子校とOLG校の難民生徒約1000名を全生活面で援助した。

2001年

 ナイジェリア、アナンブラ州オボシに宣教クララ会の小学校を建設するため、土地購入を援助。

2004、2005年

 40フィート大型コンテナでOLG学園へ物品援助。

2002~2013年

 シエラレオネでは10年内戦後の疲弊に即応し、OLG校全生徒児童職員約2600名の週5日学校給食費用を全面支援。

2007~2010年

 ナイジェリア、アバカリキの宣教クララ会による油ヤシ植樹計画を援助。

2004~2013年

 シエラレオネ、ルンサの宣教クララ会マリア・イネス・職業中学・高等学校生徒の教育援助。

 

               (右欄につづく)

 

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2009年

 シエラレオネ、ポート・ロコ地区のカトリック教会立小学校10校の井戸掘削資金援助。

2009~2011年

 アルゼンチン・パタゴニア、宣教クララ会シエラ・コロラダ・ミッションの教室建設援助。

2013年8月

 運動はある理由で終止を余儀なくされた。

2013年12月

 佐藤代表といっしょなら支援を続けたいと望む有志達により、運動は手を貸す運動Ⅱの名で復活した。

2013~

 メキシコ・インデイアン村2校の教育援助を再開した。

 アルゼンチン・パタゴニア州宣教クララ会バリロチェの焼失したシスターハウスの再建も援助。  

2014年~

 神様の不思議なお導きで元南山大学教授、神言会のジョン・シーランド神父と知り合い、フィリピン、カンドン市のカンドン・サウスセントラル小学校で給食支援を開始。現地監督はシーランド神父設立のマザー・ローラ財団が担当。

 メキシコ・インデイアン村の中学・高校生を対象とした人材養成援助も開始し、今に至る。

 ナイジェリア、オボシの宣教クララ会のシスターハウス建設の資金援助。

2015年~ 

 シエラレオネの宣教クララ会ノビスの人材養成援助再開。

 ナイジェリア、オボシの宣教クララ会が開校する中学校建設資金援助。

 フィリピン、ルソン島ラグナ州カブヤオ市サウスビル1小学校の学校給食援助を開始。現地はシーランド神父設立のNPO《RASA-Japan》が監督。

 

 手を貸す運動Ⅱは、旧運動よりずっと小規模になったが、志は高く、同じ精神、同じ在り方を継承して活動している。

その時その時のメッセージ

 《希望を支える》 

                           2015年5月9 日発行の手を貸す運動Ⅱニュース8号から 

 

 自然界が新緑に溢れ、「日本って、いいなぁ!」とつくづく感じさせる五月です。皆様いかがお過ごしでしょうか?

 手を貸す運動Ⅱは、1年半前に再始動した時には想像もしなかったほど順調に発展し、4月からは2回目の新しい活動年度に入っています。本号はその初回のニュースなので、年度初めのご挨拶をさせてください。

 まず申し上げたいのは感謝です。学校給食援助は4月に入ってすでに2回送りました。昨年度と違い十分な支援力を蓄積できているからです。これもすべて皆様のご支援があればこそできること。恩恵を受ける現地の子らと共に、あらためて深く、深く感謝申し上げます。

 去る4月26日は年次総会でしたが、出席者は僅かでした。そこで私は思いました。「きっと皆さんは私たちに任せておけば大丈夫だと信用し、安心しきっているから来ないのに違いない。だが、裏返せばこれは信頼されている証拠。むしろ感謝しないと…」と。実際、多くの支援者はお会いしたこともないのに、手を貸す運動Ⅱを信じて浄財を託してくださいます。考えてみますとこれは本当に驚くべきこと、何とありがたいことか!と思います。この信頼にも感謝いたします。私たちサーボランはどんな勲章にもまさるこの信頼を励みとし、それに応えて今年度も誠実に仕えたいと決心しています。どうぞ支援者の皆様、また悲喜苦楽を共にしながら働かせてください。

 

 ところで皆様は手を貸す運動Ⅱの原点が、あのサマリア人のたとえの結語、「あなたも行って同じようにしなさい」と言われたイエス様のお言葉にあることをもうご存知です。手を貸す運動はその実行手段の一つに他なりませんが、今日二つ目に申し上げたいのはそのことです。

 私たちは援助先を海外の要支援の人々、特に子どもたちに絞っています。それなのに、私たちはほとんどが職業、子の養育、親の介護、病気、高齢等の事情で海外活動などできない人ばかりです。でも、持っている富を少し割いて分ち合えば、私たちも海外の要支援の人達を助けられるのです。一例ですが、先月届いた一郵便振替には通信欄に、「病気の悪化で苦しい四旬節でしたが、おやつの節約等で少しばかりですが、愛の献金として送らせて頂きます」とありました。老人ホームにおられる高齢のご婦人からでした。読んで、何と尊い実践かと感動しました。同じように、どなたもきっと各自のやり方を考え出し、支援くださっておられるのだと推察します。 

 

 しかしながら個々人がバラバラでは力になりません。個々の力を結集してこそ効果的になります。私はそこに手を貸す運動の存在理由があると思っています。助けの要る人たちを助けたいと願う人たちの力を結集する役目です。ですからこれからも、一方では支援を求める人たちから頼りにされ、他方では隣人愛のある人たちに助けの要る人たちを引き合わせる仲介者、信用できる誠実な支援集団であり続けたいと思っています。もちろん神の国のためです。どうぞどなたも「富を天に積む」(ルカ12:33)ために、手を貸す運動Ⅱをご利用ください。 

 

 最後に、支援は “希望”を生むということに注目したいと思います。再度サマリア人のたとえを引用しますと、半殺しの目に遭った旅人はロバの背に乗せられたとき、どれほど「あぁ助かるのだ!」という希望を実感したことでしょうか。助けが必要な人達にとって、自分達を見捨てない誰かがいるということは、それ自体が大きな希望となるのです。私たちにできることは限りがあるとしても、支援が不運な人々に生きる希望を与え、学ぶ機会がなかった子らに学ぶ希望と喜びをもたらせるのなら、何とやりがいのあることでしょうか。ならば私たちは今年度も、そういう希望を支える支援者であり続けようではありませんか。

 

​                              手を貸す運動Ⅱ 代表 佐藤 正明

 

 

 

 



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